「みなし入院」の大誤算、保険会社の負担に
入院の短期化によって、「入院給付金を主とする医療保険は時代遅れでは?」との声も聞こえていた。
そんな中、コロナ禍が到来。感染者の急増に医療機関の対応が追い付かず、入院難民があふれた。ホテルや自宅療養を余儀なくされる事態に対し、保険会社は宿泊療養・自宅療養でも入院として扱う「みなし入院」の措置を打ち出した。つまり、入院給付金の対象としたのだ。
しかし、国は療養期間をWHO(世界保健機関)の基準に基づく14日としたため、最低でも14日分を支払うことになる。もし日額1万円の保険契約なら14万円が受け取れる。これが、じわじわ保険会社の利益を圧迫した。患者数が半端なく増え、それを入院者とカウントし、さらに最低14日となると一体どれだけの給付金支払いが発生するのか。やがて入院日数は10日に短縮されたが、医療保険への加入者は増え、「保険金バブル」に沸いた人もいたと聞く。
なお、各保険会社は2022年9月26日以降「みなし入院」給付金の支払い対象を、65歳以上、重症化リスクがある、妊娠中の人などに限った。この経緯を見ても、新型コロナは医療保険にとって大誤算だったに違いない。しかし、5月8日からは通常運転に戻った。加入するか否かも通常モードで判断されることになるだろう。
原点に戻って、医療保険は要るのか要らないのかを、筆者の例で検証してみよう。