受け取った給付金は支払った保険料の約5割

 筆者はもともと入っていなかったが、諸事情あって18年ほど前に加入した。入院給付金は日額1万円、女性疾病の場合さらに5000円が上乗せになる。手術給付金は10万・20万・40万円だ。加入時年齢が高かったことと、一定期間は保険料を多く支払う商品設計だったため、毎月7300円ほど払っている。正直、医療保険の支払額としては高い方だ。加入から2023年3月までに支払った保険料の総額は約153万円になる。

 体は丈夫な方だが、えてして年齢が上がってくると不調が出るものだ。2019年に女性疾病の適用になる手術をし、さらに2020年に片目の手術を行った。今年3月にもう片目の手術をし、ここまでで3回の手術と入院を経験したわけだ。入院期間は2泊3日が1回、1泊2日が1回となる。どちらも手術を伴うため、手術給付金も受け取った。

 それぞれ給付金の額は以下の通りだ。

(1)    入院3日(@1万円+5000円※女性疾病特約)+手術給付金20万円=24万5000円
(2)    入院2日(@1万円)+手術給付金20万円=22万円
(3)    入院2日(@1万円)+手術給付金20万円=22万円

 都合3回の入院と手術で、合計68.5万円を受け取った。

 これを、加入時から手術月までに支払った保険料153万円で割ると約45%となるので、かけたコストの5割ほどを受け取ったことになる。しかし、保険料は終身払いのため今後も払い続ける必要があり、どんどん損益分岐は下がっていくだろう。つまり、医療保険で「かけたコストの元を取る」のは、相当難しいとの結論になる。

 当然ながら給付金は臨時小遣いではなく、医療費に充当される。

 見ていただくとお分かりのように、手術をしても2~3日しか入院できなかったので、入院給付金の総額は期待できない。高額療養費制度を適用し、入院の室料も無料だったため、受け取った給付金内でまかなえたが、それで潤ったわけではない。

 もし、入院時に有料の個室を希望すると(積極的に希望しなくても個室しか開いておらず、その個室費用に患者が同意した場合も)差額ベッド代が発生する。病院の規模にもよるが、個室料が数万円だとすれば1万円程度の入院給付金では役に立たない。

 とはいえ、給付金の金額を上げれば、払う保険料も上がってしまう。入院期間は短くなるわ、差額ベッド代は今後も上がるわで、医療保険の入院給付金では“帯に短し”状態なのだ。それなら医療費用として毎月5000円ずつでも積み立てれば20年で120万円に達する。早めに積み立てを開始すれば、民間の保険に頼らなくても当面の支払いには足るだろう。