<販売業者が注意すべきこと>
・薬品・火薬品(例:花火など)を大量に購入・所持した者がいる
・不自然な問い合わせがあった
・身分確認を渋る

<教育機関の関係者が注意すべきこと>
・盗難・紛失防止に細心の注意を払う
・薬品の定期点検の実施
・紛失発覚時の早期通報

 そして、テロの実行犯の行動について、以下の特徴がある(かなり一般的なものであることはご容赦願いたい)。

(1)準備段階:大量の化学物質や花火、ガスボンベなどを購入
(2)製造段階:化学薬品、火薬、ガスなどの異臭
(3)下見段階:防犯カメラや警察官の位置を気にしながら公共施設やショッピングモール周辺を徘徊(はいかい)
(4)実行段階:多くの人が集まる場所に、所有者不明の物品を放置

 また、爆発物のテロにおいては、その場にそぐわない物であったり、本来捨てるべきではない物・場所に投棄されていたりする場合は注意してほしい。とにかく“違和感”を察知することが重要である。

 ここまで述べてきたことは爆発物や化学物質を想定している。だが、ナイフなどの凶器によるテロ事件も、英国をはじめ海外では多数確認されているため、その危険性についても併せて認識していただきたい。

 そして、今回の警備面ではドローンへの対策も不可欠となる。

 サミット主会場(広島市の宇品島)は、本土側と道路1本でつながっているため、警備上のコントロールがしやすい。その一方で、瀬戸内海に点在する島々との距離が近いことから、ドローンによるテロについて、陸海空で警戒せざるを得ない。

 また、テロは必ずしも会場周辺で行われるとは限らない。

 2005年の英国におけるグレンイーグルズ・サミット開催時には、開催地から遠く離れた首都ロンドンでテロ事件が発生。ロンドン市内を走行中の地下鉄3車両とバス1台で自爆テロが起き、イスラム教徒の実行犯4人を含む56人が死亡、負傷者は約700人に上った。

 サミット期間中は、該当地域に限らず、脅威に立ち向かわなければならない。