デリバティブ(金融派生商品)取引で、229億円もの巨額損失を出した南山学園(名古屋市)。名門私立大学、南山大学などを運営する学校法人が、デリバティブ契約直後に、契約した証券会社から不透明な寄付金を受けていたことが、週刊ダイヤモンドの取材でわかった。専門家からは、法令違反の疑いも指摘されている。
「デリバティブ取引に係る契約を全て解除いたしました」──。
昨年11月、南山学園はHP上で、すべてのデリバティブ契約を解約し、総損失額が確定したことを明らかにした。
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学校法人の教育や研究に支障がないことを強調する内容だが、このリリースで、明らかにされた損失額は約229億円。デリバティブ取引で損失を被った学校法人の中で断トツとされた慶應義塾大学の225億円を上回る。冒頭の文章で始まるプレスリリースは、しかし、掲載からわずか2週間で南山学園のHP上から削除されてしまう。
南山学園は、2005年8月末から08年6月までの3年弱の間に、外資系4社を含む証券会社6社と通貨スワップ取引など計36のデリバティブ契約を結んでいた。
ある南山学園関係者はこのリリースに、「取引の裏で起きていたことを隠蔽している」と憤る。
本誌編集部が入手した南山学園の内部文書の一つに、南山大学への寄付金がある。
06年1月、ある寄付金が、日本私立学校振興・共済事業団を経由して南山大学に寄せられた。
寄付者の名前は、その直前に南山学園とデリバティブ契約を交わした外資系証券会社だ。しかも、寄付は1回にとどまらず、数十万円ずつ複数回にわたる。もちろん、初契約以前に寄付が行われたことはない。