ダークカラーとシャツは「無地」
G7首脳の中では、最も中庸なスタイリングと思われるのがドイツのショルツ首相です。ドイツが誇る有名ブランド、ヒューゴ・ボスのスーツを着ているといわれています。岸田首相より1歳若いだけなのですが、スーツのカットの差で見た目はフレッシュ組に近い印象を受けます。
ここまでご覧になってお気づきと思いますが、国際首脳会議の場ではダークカラーのスーツが基本となります。中でも、9割のリーダーが濃紺スーツを選ぶと言っても過言ではないでしょう。濃紺の次に見られるのはチャコールグレースーツです。そしてシャツは白または薄いブルー。いずれも無地です。今回の広島サミットでもこの2色のスーツとシャツに、各国首脳ともネクタイで変化をつけるというスタイリングでした。
中でも特に、広島平和記念資料館を訪れた際と、ゼレンスキー大統領を迎えた装いは各国首脳とも慎重でした。
この二つのテーマに共通するのは戦争です。ここでは何より畏敬の念と和平への思いを込めた服装が最重要テーマになります。各国首脳のネクタイも明るい色や目立つ柄はなく、落ち着いた印象のVゾーンとなっていました。それ以外の場面で岸田首相は、小紋柄をはじめソリッドなカナリヤイエローやロイヤルブルーのネクタイをシーン別に選んでおり、ネイビースーツの中にも来賓やシーンに合わせてコーディネートする姿が見られました。安定感あるスーツ姿の中に、自身の主張が控えめに込められている印象を受けました。
トップ同士が集まる場面で最も大切な服装プロトコルは、相手への敬意です。ここに間違いが生じないよう、ネイビー無地を選ぶ首脳が多いわけですが、やはり装いは個性でもあるため、ルールの中で自分らしさを出すことはとても大切だと思います。