中国の国旗とワクチン写真はイメージです Photo:PIXTA

新型コロナ第2波の到来で
1週間に6500万人が感染の見込み

 チャイナリスクがみたび、顕在化するか。

 昨年、国際政治・経済における最大の事件が、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻であったことは疑いないだろう。世界史に深く刻まれる惨事である。一方、ロシア・ウクライナ戦争ほどのインパクトはないものの、特に経済面で世界を震撼させたのが、中国政府による「ゼロコロナ」策である。

 新型コロナウイルスがデルタ株からオミクロン株へと変異し、感染力は強いが重症化リスクが低くなっているにもかかわらず、感染者数ゼロを目標とするお上による政策である。その過程で、国際経済都市である上海では、4~5月にかけて、2カ月以上ロックダウン(都市封鎖)措置が取られ、経済活動が致命的な打撃を受けたのは記憶に新しい。

 10月の共産党第20回大会を経て、年末年始にかけて「ゼロコロナ」策は実質解除された。感染を禁止する「ゼロコロナ」から「フルコロナ」へと方針が大転換する中、中国の2023年は幕を開けた。その後、中国社会は「コロナフリー」へと移行し、経済活動や国民生活はコロナ禍以前の状態に戻った、というのが大方の見方であり、期待でもあった。

 そんな中、5月下旬、衝撃的なニュースが飛び込んできた。

 中国における感染症対策の権威で、新型コロナ対策政府専門家チームのトップを務めた鍾南山氏が22日、広東省広州市のバイオテクノロジー会議で行った報告によれば、現在新型コロナの第2波が押し寄せており、1週間当たりの感染者が5月末に4000万人、6月末には6500万人に達するとの見通しを述べたのである。

「中国発の新型コロナウイルス再度の感染拡大懸念」を受けて、5月24日、アジア株は全面安、特にインバウンド関連株は急落した。