ヒトの記憶をつかさどる
「海馬」に注目

 BrainSuiteは、どのように脳の萎縮を判断するのだろうか。

 具体的な流れはこうだ。

 まず頭部のMRI画像を撮影する。それを独自のAI画像解析技術により解析し、「海馬の体積の変化」を確認する。解析はわずか2~3分で完了し、受診者は結果を詳細なレポートで見ることができる。これまでの目視によるMRIの読影では捉えることができなかった海馬の状態を確認し、これをもとに、自分に必要な生活習慣の改善を促すプログラムになっている。

 このように、BrainSuiteには、海馬を鮮明に解析できるという特長がある。アルツハイマー型認知症の発症時には、記憶力や判断力をつかさどる海馬の顕著な萎縮が見られるとされている。

認知症は「予防できる病」になる?脳の異変を察知する新手法とは海馬の萎縮は30代から始まるとされている。BrainSuiteは、自分の海馬の状態を把握し、早期から予防が可能なプログラムになっている

 記憶力や判断力に影響が出てしまうほど萎縮が進む前に、海馬の状態を定期的に観察し適切な対策を行うことこそが、認知症の有効な予防手段となる。

 現在、全国22カ所の医療機関で利用が可能で、導入機関は増え続けている。脳ドックに組み込まれている場合もあれば、BrainSuite単独で利用することもできる。

 しかしなぜ、これまでは分からなかった海馬の状態を判定できるようになったのだろうか。