顧客を深く理解し、長期的なパートナーシップを創造

──各事業部門のプロジェクトをサポートする社内コンサルタントという役割でしょうか。

髙野 そういう動きが多いですが、本センター独自のサービスもあります。例えば、ISOに準拠した環境評価サービスなどがそうですね。産業オートメーション関連の国際標準作りに参画した経験を生かして、顧客の環境のギャップ評価や改善提案をするものです。こうした活動は独立した業務として顧客からコンサルティング料を頂いています。継続的に顧客との関係性を築けるので、長期的に各事業部門のビジネス拡大にも貢献できると考えています。

──業務領域が広がって、デザイナーのスキルや姿勢も変化しているのではないでしょうか。

髙野 社内外から非デザイナーがジョインして、スキルも人材も多様化しています。新卒採用は主にデザイン系学科の出身者ですが、インターンシップの学生さんを見ても、狭義のデザインだけでなくファシリテーションやワークショップ設計に興味を持つ人が増えています。個人のスキルに関しては、組織として無理に広げようとはしていませんが、得意・不得意や希望を踏まえて多様なプロジェクトにアサインするようにはしています。

──知財とデザインを統合したことで見えてきた課題はありますか。

髙野 本センター全体のビジネス開発力向上が大きな課題です。知財やデザインの特定分野のスペシャリストであっても、それ以外の業務が「理解できない」「興味がない」では困るので、メンバー全員が対話できる共通言語が必要です。特に、ビジネスサイドの人たちと話せるコミュニケーション力は強化してきたいと思っています。

田中 そのためにも、まずは本センター内で知財部とデザイン部が相互に学び合う動きを加速させなくてはなりません。知財とデザインを融合させ、企業の資産として積極的に活用することについては、経営からの強い期待を感じているので、しっかりした成果につなげられるよう、使命感を持って取り組んでいるところです。

知財とデザインの一体型組織が「課題を掘り起こす力」を資産に変えるPhoto by ASAMI MAKURA