職場において、切っても切り離せない悩みが「人間関係」。この悩みを未然に防ぎ、解決する簡単な秘訣がある。それは、自分にとって得意不得意な相手を言語化することだ。実はそのノウハウが、学生向けの就活対策定番書『絶対内定2025』のワークシートにある。この本には、これまで10200人以上に就職指導をし、その“第一志望”内定率が93%というキャリアデザインスクール「我究館」がもつノウハウがこのシリーズには詰まっている。人間関係での悩みを抱えていて、転職すべきかどうか悩んでいる人や転職活動をしている人にも大いに役立つ一冊だ。本稿では、同書の刊行を記念して、その内容の一部を特別に公開。仕事を好転させるための秘訣を紹介する。(構成/立川雄太・朝倉陸矢)
「本音」の転職理由トップは人間関係
退職する際や転職活動で質問される転職理由。表向きは「家庭の事情のため」、「キャリアアップのため」などと答える人がほとんどだろう。
しかし、エン・ジャパン株式会社が行った「『本当の退職理由』実態調査」(※)によると、1位は「職場の人間関係が悪い」だ。実際に私が転職エージェントとして勤務していた経験からも、これは断言できる。
特に、主に担当していた第二新卒層では「上司と合わない」や「取引先の担当者とのトラブル」に悩みを抱えている人が多かった。ここで言う「人間関係」は社内だけでなく、取引先など社外とのコミュニケーションも関係しているわけだ。
人間関係で悩むシンプルな理由
人間関係で悩む理由には法則性がある。悩みの根本に必ず関わってくるのは「苦手な人」だ。苦手な人と関わるからこそ、対応策を考える必要があり、悩みが発生する。逆に、得意な人と関わっているときは悩みが少ない。
つまり、人間関係を理由に転職を検討している人は「苦手な人」とのコミュニケーションを避けることが目的になっている場合が多い。
転職先探しの前にやるべきこと
転職先で再び悪い人間関係で悩まないためにも、自分にとって得意な人と苦手な人を言語化し、なぜ得意なのか、なぜ苦手なのかをまず明確にすべきだ。人それぞれ生い立ちがあり、その背景から得意不得意が発生する。
例えば、幼少期から放任主義で育てられた人は、自分自身で自由に意思決定してきた経験が多い。そこで、裁量を与えるコミュニケーションをする人や職場との相性が良い。マニュアルを重視し、決まったやり方に従わせる教育方針の上司だとストレスが溜まるだろう。
このように人間関係の得意不得意を言語化すれば、悩む要因に気づける。
あとはその解決に向かって動くのみ。現職内で得意な人とのコミュニケーションを増やすなど、改善を試みるのもよい。現職では改善が難しそうな場合は転職活動を始めるのも一つの選択肢であろう。
得意不得意とその要因を言語化すれば、次の転職先に求めることが明確になる。転職エージェントに相談する際にも、転職理由の納得度が増す。また、面接で頻繁にみられる逆質問の時間においても、得意なコミュニケーションスタイルの人がいるかを質問できる。
自分にとって居心地の良い環境への転職に近づく手段でもあるので、是非実行してほしい。
効率的に取り組むために
とはいえ、一人で得意不得意な相手とその要因を突き止めるのは大変だ、という人もいるだろう。『絶対内定2025』には、効率的に自分の人間関係の適性を言語化できるワークシートが掲載されている。
実際に取り組んだ人の事例も掲載しているので、それを参考に書き込んでみてほしい。数分で書けるはずだ。そして、転職活動をするときには、その内容を転職エージェントとの相談で話してみてほしい。
先述した通り、人間関係を理由に転職を検討している人は「苦手な人」とのコミュニケーションを避けることが目的になっている。そのため、苦手な人とその理由を率直に伝え、自らのコミュニケーションスタイルに共感してくれる企業を紹介してもらえば良いのだ。
ここであげた例の人であれば、風通しの良い社風の企業であれば、不得意と感じるコミュニケーションは発生しづらいため、ミスマッチが起こりづらくなる。
ぜひ一度、自分の悩みを言語化し原因を深掘りする時間をとってみてほしい。
我究館コーチ
2019年よりエン・ジャパン(株)へ新卒入社。関西の大手から中小まで300社の担当企業の採用支援に携わる。3年目からチームリーダーに抜擢され、チーム連続達成を実現。個人では通年でも140%のハイ達成を記録するなど、採用支援の分野でも活躍。
2022年より株式会社ジャパンビジネスラボへ入社し、我究館のコーチに就任。主に学生校主担当コーチとして学生のキャリアデザインを支援。総合商社、コンサルティングファーム、広告代理店など、難関企業に多数の内定実績がある。