これまで日本で流行を繰り返してきた韓国エンタメだが、その人気はかつてないほどに高まっている。韓国エンタメを「推す人々」に共通する言葉や文化について、『世界が広がる 推し活韓国語』の担当編集・澤田未来氏と同書を監修した「劇団雌猫」のかん氏に話を聞いた。(清談社 小森重秀)
中高年にも広がる
韓国エンタメブーム
『世界が広がる 推し活韓国語』は予約段階であったにもかかわらず、Amazonの「語学・辞事典・年鑑」部門で1位(2023年1月26日調べ)となった。編集を担当した澤田未来氏は、「元々は若い世代を対象に本書を企画したが、予想以上に中高年の方々にもご購入いただいている。本書の売れ行きを見る限り、韓国エンタメは世代を問わず支持されているのではないか」と語る。
また、韓国のアイドルや俳優を応援するファンの多くは、推しをより深く知るために、韓国の食文化やファッションに対しても理解を深めたいと考えるそうだ。
「日韓100人以上の韓国エンタメオタクの皆さんに『韓国の文化の中で、あなたが応援・熱中しているものを教えてください』(複数回答可)とアンケートを取ったところ、最多が『アイドル・アーティスト』(23%)でしたが、『コスメ・ファッション』(13%)、『フード・スイーツ』(12%)と回答する方も多数いました」(澤田氏)
『推し活韓国語』の監修者であるオタク女性ユニット・劇団雌猫かん氏は、韓国の13人組ボーイズグループ「SEVENTEEN」のファンだというが、韓国のインテリアやコスメに対する関心も高い。
「推し活のきっかけはアイドルや俳優だったとしても、YouTubeやSNSの投稿を見て韓国風インテリアに関心を持ち始めた人や、同性アイドルのメイクを見てまねをしてみたいと韓国コスメに興味を持つ人など、推しが好むものを自分の日常に取り込みたいと考える人が増えています」(かん氏)
また、2020年頃から、新型コロナウイルス感染拡大による“巣ごもり需要”の影響で、動画配信サイトで視聴できる『愛の不時着』や『梨泰院クラス』といった韓国ドラマが人気となった。出演する俳優だけでなく、ロケ地や劇中歌も注目を集めており、ドラマをきっかけに韓国文化の沼にハマる人が多いという。
さらに、101人の練習生の中から視聴者投票を通じてメンバーを決定する韓国発のオーディション番組『PRODUCE 101』シリーズの成功などを通じて、ファンがデビュー前からアーティストの成長過程を見守るという文化も一層定着した。
「かつては『完成したアイドル』を見るというのが、韓国アイドルに対してのオーソドックスな推し方でした。ところが、デビューを賭けたオーディション番組や、デビュー前のトレーニングに密着した動画が日本でも配信され、『未熟なアイドル』がスターダムに駆け上るプロセスを応援するという推し方ができるようになりました」(かん氏)
こうしたオーディション番組や動画配信の隆盛によって、韓国エンタメはより身近なものとなり、韓国の文化そのものに魅了されている人も増えているようだ。