データは出所が重要

 頭のいい人は正確な統計データに早くたどり着くために、検索にひと工夫します。
 というのも、データは“出所”が重要だからです。

 民間企業の発表している数字は、自分たちの事業に有利な、恣意的な調査をしている可能性があるため、あまり信用できません。

 たとえば、テレビショッピングの中で紹介されているデータは、見た人が買いたくなるデータしか使用しません。

 それに比べて、100%信用できるわけではありませんが、大学、もしくは政府の発表しているデータはいくぶん客観性があります。
 ですから、初めからそういったデータを探したほうが早いのです。

 具体的には、ネットで検索をするとき、検索用語に続けてスペースを入れ、その次に【site: .go.jp】と入れるやり方があります。
  これは、対象となるサイトのドメインを指定して検索をするオプションで、【site: .go.jp】と入れた場合、政府系のドメインのサイトだけが表示されます。
 政府機関から出る情報は基本的には、検証されたデータをもとに作成されていますので、ある程度信用できるデータにたどり着くことができます。

 また、【site: .go.jp】と同様、末尾に【総研】【site: .ac.jp】と入れることもあります。政府系ドメイン同様、シンクタンクや大学が発表する情報をたどることで、信用度の高い統計データに早くたどり着けます。

 ここでは、簡単な検索術を紹介しましたが、本来、データの取り方はコンサルティング会社に入社すると丸2日かけて研修が行われるほどです。そこでは、大事なのは当事者に聞くこと、つまり一次情報にあたることだと教わります。

 そして補助的な要素として、国会図書館や日経テレコンなどで新聞・雑誌・書籍・論文を横断的に調べていきます。ただ、今まで一次情報や統計データにあたったことのない人が、いきなり国会図書館に行ったり、日経テレコンで論文を調べるのはハードルが高いでしょう。時間や労力もかかります。

 ですから、まずはできる範囲で面倒臭がらず【site: .go.jp】【site: .ac.jp】を入れて検索する癖をつけてくさだい。
 
そこで、より深く知りたいと思ったら、横断的に文献にあたってみるといいでしょう。その際には『調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』(皓星社)を一読することをおすすめします。

安達裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が“本質的でためになる”と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。Twitter:@Books_Apps