「人に教える態度で知的かどうかは分かります」と断言するのは『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者である安達裕哉氏だ。教えるのが上手い人が信頼を得られるのは、想像に難しくないだろう。本記事では「知性」と「コミュニケーション」の新法則を綴り話題沸騰中の書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』にはは入りきらなかった「頭のいい人の教え方」について記述する。

頭のいい人が話す前に考えていることPhoto: Adobe Stock

手順だけ教えて、意味を教えない人

 教える際に、「手順」だけ教える人がいます。

 “これやって、次にこうやって、最後にこうして、おしまい。じゃ、やってみて。”

 といった、教え方です。
 これは「教えるのがヘタ」の代表的な例です。
 なぜかと言えば、「手順の意味」を教えないと、例外に対応できなかったり、手順を無視して楽な方法を選び、事故を引き起こしたりするからです。

「手順の意味」を教えない人は、普段から意味を考えず無思考に行動している可能性があります。

「皆がやっているからだ」とか、「昔からやっているからだ」「これが常識だ」とかです。

 つまり、意味を教えないのではなく、意味を考えていないから“教えられない”のです。
(もちろん、意味はわかっているが教えない人もいます)

 頭のいい人は、普段から意味を考えていて、教える際もちゃんと手順の意味まで伝えます。

「提案書は、データで送る時にも、必ずプリントアウトせよ」と言うだけでなく、
「なぜなら、モニターで見るよりも、誤植を発見しやすいから」と加えます。

「自社の商品資料だけではなく、競合他社の資料も持ち歩け」というのには、
「提案するものがなかった時に、競合であっても良い情報は提供したほうが、長期的に良い関係をお客さんと築けるから」と説明できるのです。

 これらのことが言われなくてもできるようになるのは、それをやる意味がちゃんと理解できた時なのです。

安達裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が“本質的でためになる”と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。Twitter:@Books_Apps