「どれだけ考えても伝わらなければ、考えたことにならない。でも、話し方のテクニックでは人の心は動かせない」こう断言するのは、株式会社ティネクトの代表取締役でありコンサルタントの安達裕哉氏だ。「今年1位かも」「ぶっ刺さりすぎて声でた」と話題沸騰中の安達氏の書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』は、話し方を鍛えることよりも、話す前に考えることの重要性を「考えている人」「考えていない人」の具体例を交えながら分かりやすく説く。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「浅い話」を「深い話」に変えるカンタンな方法を紹介する。(構成/淡路 勇介)

頭のいい人が話す前に考えていることPhoto: Adobe Stock

こんな話し方していませんか?

 オフィスでこんな話をしている人たちがいました。

後輩「先輩、昨日テレビで見たんですけど、年収を上げるには、英語力と会計の知識が重要みたいです。どう勉強したらいいですかね?」

先輩「えっと……佐藤さんの仕事って、英語も会計も使わないよね?」

後輩「でも、英語って、グローバル化の流れの中で、重要なのは間違いないですよね?」

先輩「重要じゃないとは言わないけど……そもそもグローバル化が佐藤さんの仕事にどう関係しているの?」

後輩「いや、最近みんなグローバル化って言うじゃないですか。お客さんも、“グローバルの推進”を掲げてましたよ。」

先輩「否定はしないけど、グローバル化の推進って……どういうこと?」

後輩「えっと……詳しくは聞いてないんですけど……。」

先輩「……ま、頑張って。」

 先輩は、この後輩を“ちゃんと考えていない奴”と認定しました。みなさんもこの会話を読んで後輩の話が「浅いな」と感じたかもしれません。
 このように、人の話を聞いて、「浅いな」とか、逆に「深いな」と感じた経験がある人は少なくないでしょう。

話を深くするふたつのコツ

 では、浅い話を深くするコツをふたつ紹介しましょう。

 先ほどの「先輩、昨日テレビで見たんですけど、年収を上げるには……」と話した後輩がこのように話したらどうでしょう。

後輩「先輩、昨日テレビで見たんですけど、年収を上げるには、英語力と会計の知識が重要みたいです。でも、ほんとにそうなのかなと思って調べてみると、年収を上げるために英語を勉強するなんて無駄だ、って言う人もいたんですよね、なんでこんなに言うことが違うんですかね」

 とか、

後輩「テレビで英語学習すれば年収が上がるって言ってましたけど、語学学習アプリの調査で、世界で一番語学学習に時間をかけているのって、日本人らしいんですよ。これって、英語教育ビジネスのマーケティング用のトークですかね」

 と言えばどうでしょう?
 もう少し話を聞きたいなと思いませんか?
 少なくとも、“考えの浅い奴”ではなく、“ちゃんと考えられる人”と認識されるはずです。

 話をカンタンに深くするポイントはふたつです。

①自分の意見と真逆の意見も調べる
②統計データを調べる

 

 人間は多かれ少なかれ誰でも「思い込み」(バイアス)がありますが、頭のいい人は自分の「思い込み」に意識的なり、物事を客観的に正確に捉えようとします。

 上の例ではまず、「英語と会計を勉強すれば年収が上がる」の逆の「英語や会計を勉強したからといって年収が上がらない」という意見を探しました。
 すると、「住む場所を変えたほうが年収が上がる」など別の意見に出会うかもしれません。

 また、②は数字という根拠を持ち出すということです。
 ここでは、「国別の語学学習に掛ける時間のデータ」を調べることで、テレビで見た「年収を上げるには、英語が必要」という情報を掘り下げました。

検索するだけでも、「頭のいい人」と「そうでない人」の差がでる

 では、②の統計データはどのように調べればいいのでしょうか。
「調べましょう」と言われると、ほとんどの方がまずはネットで検索すると思います。
 実は、検索ひとつとっても、頭のいい人とそうでない人で差がでてしまいます。

 頭のいい人の検索術とは……