薬科大学からの採用が後退
難関国立大学で奪い合い
22年のランキングは、3社とも1位は不動だった。武田薬品工業は1位大阪大学、2位に京都大学、3位に東京大学が浮上した。アステラス製薬は1位東京大学で、2位に同人数で東北大学と大阪大学が並んだ。中外製薬は1位東京大学、2位京都大学で、3位に同人数で慶應義塾大学と東京理科大学が並んだ。
日本トップの医学部を擁する東京大学を筆頭に、難関国立大学の人材を各社間で奪い合っている状況が見て取れる。その中でも中外製薬は東京大学22人、京都大学12人と他社に比べて多く、採用力の高さがうかがえる。
東北大学は武田薬品工業ではランク外となったが、アステラス製薬では人数が増えている。また東京工業大学は、21年は3社でランク外だったが、22年はすべてでランクインした。
武田薬品工業では、金沢大学、愛媛大学、山口大学といった地方国立大学が新たにランクインしており、採用エリアを広げている様子がうかがえる。逆にアステラス製薬は、21年にランクインしていた静岡県立大学、神戸大学など地方大学がランク外となり、首都圏の大学が増えている。中外製薬では、立命館大学がランク外となり、代わって早稲田大学が5位に浮上した。
一方で、薬学の専門性を養う薬科大学については、21年は東京薬科大学、岐阜薬科大学、京都薬科大学、明治薬科大学の4校がランクインしていたが、22年では武田薬品工業の東京薬科大学の1校だけとなった。少なくともこの3社の中では、難関国立大学の地位が薬科大学よりも相対的に向上したといえそうだ。
*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。
医科・歯科の単科大等を除く全国743大学に2022年春の就職状況を調査。558大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数にグループ企業を含む場合がある。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。青山学院大以外は大学院修了者を含む。東京大学は「東京大学新聞」、京都大学は「京都大学新聞」より集計。大阪公立大は統合前の大阪市立大と大阪府立大の実績を掲載した。(調査/大学通信)