その一つに、なるべくコンパクトにまとめる、という点が挙げられると思います。

 どういうことか。

 まず、コンパクトにまとめられているということは、話の内容がより抽象的になっているということを意味します。となるとそのぶん、他の様々な文章とのリンクが貼りやすくなる。たとえるなら、〈一つの林檎と一つの林檎を合わせて二つの林檎〉という具体的な情報は、林檎を数えるときにしか使えませんが、これを抽象化して〈1+1=2〉とすれば、あらゆるものを数えることに応用できるわけです。汎用性の高い知識にするためにも、要約はなるべくコンパクトに抽象化したい。

 あるいは、コンパクトにまとめることができれば、当然、頭のなかに記憶しておきやすくなります。もしくは、記憶できなくとも、リストなどを作成し、参照することも容易になるはずです。

 では、そのように応用力のある知識とするためにコンパクトな要約を作る上で、そこに最も盛り込まなくてはいけない要素は何か。つまり、要約の核となる要素は何か。

 それは当然、その文章を通じて書き手が私たちに伝えたかったこと、すなわち主張ということになりますよね。要約は、主張を軸としてコンパクトに構成する。「なーんだ。そんなの当たり前じゃないか」という声も聞こえてきそうですが、要約を苦手とする人ならば、この点を意識するだけでも作りやすくなるはずなので、あえて強調しておきます。

 要約は、筆者の〈主張〉を軸として、コンパクトにまとめる。

いい要約は、「ソースは?」のツッコミに耐えられる

 けれども、もちろんここは到達点ではありません。最初はここから始めた人も、慣れたらもうすこしレベルの高いものを目指してほしい。

 では、どうするか。主張をのみ軸として作成した“要約”に、どのような要素を付け足すと、よりレベルの高い要約とすることができるのか。

 その答えは、ずばり、主張に対する〈理由・根拠〉です。

 なぜか。それは、〈理由・根拠〉をきちんと示すことで、〈主張〉の持つ説得力がグンと増すことになるからです。考えてもみてください。ただ単に自分の言いたいことを繰り返すだけの文章や発言を目や耳にして、皆さんは、「おおなるほど!」と思いますか? たぶん、そうはならないと思います。「なぜだよ」「ソースは?」とつっこみを入れたくなるはずです。そう。よりレベルの高い要約を作るには、だから、〈主張〉に対する〈理由・根拠〉を明示する必要がある。

 要約は、筆者の〈主張〉を軸として、その〈理由・根拠〉を示しながらコンパクトにまとめる。

 もちろん、要約において大切なポイントは〈主張-理由・根拠〉には限りません。論の展開の仕方しだいでは、〈主張〉に対する〈対比〉を付け加えたほうがよい場合もあるでしょう。抽象的な記述のみを拾うのではなく、時には具体的な情報にある程度は言及したほうが要約の質が上がることもあるかもしれません。

 そうした判断ができるには、やはり個々の文章における文と文のつながり方、話の展開を把握することが大前提になります。「話の展開を整理してみたところ、この文章の〈主張〉を説得力あるものにするには、〈対比〉の要素も要約に組み込んでおいたほうがいいとわかった」――例えば、そんな判断もできるようになるわけですね。

 要約に必要な要素を把握するためにも、〈話の展開を理解する〉ことは、とても大切なことです。最初は「めんどうくさいなぁ……」と思っても、じっくり、文章のつながりを考えながら読んでいってください。そのようにしてある程度文章に入っていくことができれば、あえて言葉にせずとも、そうした流れを意識しながら、かつペースアップして読むことができるようになっているはずです。

――〈メモ〉や〈要約〉を参照しながら、新たな本や文章を読み進めていく。そのことによって、「社会や世界、あるいは自分自身」について考えるための〈思考の軸〉は、より深く掘り下げられ、より広く、開かれていくことでしょう。