被害抑止のために必要な議論を
これらの報道へのネット上の反応は、どのようなものだろう。
公共の場所で、性暴力(あるいはそれを模したもの)を撮影した動画が組織的に制作され、販売されている点を憂慮する声はもちろん見られた。日本の東京都内という、見覚えのある場所で撮影されているのだから余計だろう。
また、このような報道を、日本のメディアではなくBBCが伝えていることを指摘するコメントもある。
一方で、これが中国人グループの犯行であることを強調するコメントも散見される。日本人の犯行だと誤認させることを危ぶむ声もあり、記事を紹介した日本人ジャーナリストのツイートには、「犯人が中国人であることを伏せるな」といった趣旨の引用RTがついていることが確認される。
性犯罪のニュースに限らないが、被害について論ずるよりも前に、その犯人の国籍や性別などにのみ着目して言いたてる行為が、日本のSNS上では目立つ。
また、性犯罪のニュースでは、「日本は海外と比べて安全だ」とか「女性だけでなく男性の被害もある」といったコメントもよくある。こういったコメントは、犯罪抑止のための本質的な議論にはつながらない。
今回の動画のYouTubeでの再生回数は、30万回に満たない。しかし、BBCで真に指摘されているものは何なのか。それを考えるために、より多くの人の視聴をすすめたい。