日本では文春だけ…「犯人」捕まえられない社会

 数少ない日本での報道は、週刊文春によるものだけだ。

 週刊文春が6月26日に公開した記事「地下鉄で女性に擦り付け、スカートや頭髪に… BBCが報じた「痴漢サイト」運営、日本在住“中国人3人組”の正体」では、“黒幕”とされた中国人、湯卓然(タンジュオラン)の「知人」に取材し、湯が「中国ではアリババに勤めていたITのプロ」「反共主義者でもある」といった情報を伝えている。

 また、中国に比べて痴漢(わいせつ行為)の取り締まりが厳しい日本では、「別の撮影方法」が取られていたと説明されている。「知人」の情報によれば、日本では風俗店から派遣を受けた女性が動画に出演していたのだという。これが事実であれば、日本では「風俗店で働いていた女性」が出演する動画が作られていたが、日本以外では一般の女性を狙った実際の性犯罪動画が「制作」され、販売されていたということになる。

 なお、BBCでも文春の報道でも、この「痴漢動画」販売サイトがいまだに運営されていることを伝えている。

 また、BBCは、犯人グループが動画サイトの宣伝に利用しているツイッターアカウントについてツイッター社に問い合わせたが、「返ってきたのは『うんちの絵文字』だけだった。ツイッター社は今年3月以来、マスコミからの問い合わせメールには一律、こうして返信しているのだ」とも伝えている。

 もちろん、最も悪いのは犯人グループだ。しかし、ツイッター社の開き直りとも受け取れる対応を目の当たりにすると、犯人グループにその場所を提供しているプロバイダーやプラットフォームの運営会社にもペナルティーが必要なのではないかと感じてしまう。

 しかし、現代社会では、金のためにこのような動画販売をもくろむ輩(やから)を止めることができないのだ。