銃弾管理体制の簡略化で
安全管理に生じた隙

 6月14日、岐阜市内にある陸上自衛隊の日野基本射撃場で18歳の自衛官候補生が3人の自衛隊員に小銃を発砲。守山駐屯地に所属する菊松安親1等陸曹と、八代航佑3等陸曹が死亡し、原悠介3等陸曹が重傷を負った。直後に発砲した自衛官候補生は身柄を岐阜県警に引き渡された。この日の訓練には名古屋市の守山駐屯地に所属する第35普通科連隊の自衛官候補生とその指導教官など120人が参加していた。

 自衛隊、警察などにおける銃器・武器の管理は、世界から見ても非常に厳しい。射撃訓練も徹底した安全管理がされている。にもかかわらず、銃の不正使用事件が幾度となく発生している。

 今回の事件は、安全管理に隙が生じていたことが要因だ。事件は射座と呼ばれる射撃位置ではなく、待機場所で起きている(図を参照)。待機場所は射座と比べて監視者が少ない。だが、待機場所で既に弾倉と弾薬が手渡され、いつでも射撃できる状態だった。

 そして、18歳自衛官候補生は、監視の隙を突き、弾薬を装填(そうてん)した。その結果、八代3曹への発砲を止められず、その後の菊松1曹、原3曹への発砲も許した。射手に対して監視員が2人以上いる射座以外の場所で弾薬を配ってはならなかったのだ。

 自衛隊は最近までは銃弾管理を厳格に行っており、「銃と弾倉と弾丸」がそろうタイミングは射座のみに制限されていた。厳格な例は具体的には次の通りだ。