現役志向が強まる昨今、第1志望ではない大学に通う学生が増えている。だが、大学入試では手が届かなかった難関名門大でも「編入」試験においては、面接のみや本数冊の習得だけで挑戦できる“穴場”がある。特集『ChatGPTで激変!コスパ・タイパで選ぶ 最強の資格&副業&学び直し』(全20回)の#9では、そんな、お得に一発逆転できる名門大学の編入穴場リストを紹介する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
名門大学の編入試験の大半は
一般選抜よりも容易に目指せる
大学受験で現役志向が強まる昨今、「受験浪人するよりは……」と不本意ながら第1志望ではない大学に通う学生が増えている。
だが、学生もその親も、志望大学への入学方法について、一般選抜入試や総合型選抜入試などの“直線ルート”だけに固執してはいないだろうか?
もちろん、第2、第3志望以下の大学に入学しても、気持ちを切り替えてポジティブに学べているならば何ら問題はない。だが、もし鬱々と通学しているのであれば、一念発起して大学編入試験を考えてみよう。実際、大学院受験予備校講師の赤田達也氏は、近年の大学編入試験の特徴について、「中堅以下の大学から難関大学を目指すケースが増えている」と言う。
そして、大学編入試験には直線ルートにはない、多くのメリットがある。
まず、元の大学の在籍期間と合わせて最短4年間で卒業できるため、受験浪人と比べると時間的、金銭的なロスが少ない。第二に、これは特に国公立大学への編入試験に当てはまるが、一般選抜に比べて入試で課せられる科目数が少ないため、短期間の受験勉強でも難関大学を目指しやすい。
編入試験の主流は、国公立大、私立大学共に「英語」と「小論文(専門科目)」の2科目と「面接」だ。しかも、自分が興味のある学問を専門科目試験に生かせるため、受験勉強が苦行になりにくい点にも触れておきたい。
もちろん難関大学の編入試験では、高い専門知識と英語力が求められがち。だが、それでも一般選抜で同じ大学に入るよりも、格段に難易度が下がるというのが、編入試験対策をする予備校関係者の共通見解だ。
大学編入試験の指導を行う究進塾(東京都豊島区)は、「文理融合タイプの学部の編入試験には、専門性を掘り下げた出題ではなく、リベラルアーツで乗り切れる試験方式も多い。また理工系の国立大の一部には、英語不要の編入試験があり、理数系は得意だが英語の方は自信がない、という学生が挑戦しやすい」と言う。
そして、国公立大でもそれぞれの編入試験の実施日が異なることも重要だ。つまり、効率の良い併願作戦を立てれば何校も受けることができる。
その上、難関大学に編入できれば“出口”である就職でも有利になる。いわゆる「学歴フィルター」は、編入生には当てはまらず、「就職活動で差別されることはまずない」(赤田氏)からだ。
注意したいのは、全ての大学が編入試験を実施しているわけではなく、実施する大学でも一部の学部や学科だけだったり、毎年実施していなかったりする点だ。また編入試験の受験資格も大学や学部によっては、大学に2年以上の在籍者だったり、4年制大学卒業者のみだったりとまちまちだ。
次ページでは、赤田氏の協力を得て、東京大学や京都大学など旧帝国大学や神戸大学、筑波大学など難関国立大と、早稲田大学や上智大学、明治大学、同志社大学など難関私立大の編入試験において、知らなきゃ損する“穴場”となっている全国の名門15大学の学部(学科)と、その試験対策のリストを作成した。
中には、面接だけや書籍をわずか数冊マスターするだけで合格が狙える、お得な名門大学もある。編入を目指す大学生やその親は必見のリストだ。