適度な硬さが快適な乗り心地に貢献しているのは間違いないところ。このためヤリスクロスで気になったゴツゴツ感がほぼ一掃されており、質感の高いコンパクトスポーツに仕上がっていた。
GRスポーツでもアクアとヤリスクロスでは
乗り味がやや異なる
アクアGRスポーツは価格設定もなかなか巧妙だ。上から2番目のGグレードをベース車とすることで、最上級のZグレードとの価格差を19万5000円に抑えている。内容を考えると、非常にお買い得といっていい。GRスポーツはアクア全体の5~10%程度を占めると予想される重要グレード。ユーザーが買いやすいと感じる配慮も大切である。
ちょっと気になったのは、同じGRスポーツでもアクアとヤリスクロスでは、乗り味がやや異なっていたこと。ヤリスクロスのほうが1段階か2段階、足回りを硬く感じた。「これではGRスポーツの立ち位置があいまいになってしまうのではないか?」そう担当者に質問すると、「いまはベースモデルでは飽き足らないスポーティ志向のお客さまがGRスポーツを購入してくれています。GRスポーツの統一感よりもベースモデルとの差分を揃えるほうを重要と考えている」との答えが返ってきた。この回答はしっくりと腑に落ちた。新型アクアGRスポーツは、安心感が高く、しかも走りが軽快なトヨタ車として、これまで以上に多くの支持を集めることだろう。
(CAR and DRIVER編集部 報告/大谷達也 写真/山上博也)