エコバッグに玩具、お菓子…創刊40年超を誇る旅行ガイドブック「地球の歩き方」が最近、他社とのコラボ商品でヒットを連発。7月7日にはコンビニ最大手セブンイレブンから限定商品を新発売する(一部取り扱いのない店舗あり)。コロナ禍でガイドブック売り上げ95%減の大打撃を受けながら、従来の枠にとらわれない新刊の発行や、ライセンス事業にも力を入れる狙いとは?(清談社 鶉野珠子)
「ああ、死んだ」と思った時、
『ムー』コラボを機に起死回生
「『ああ、死んだ』という感覚でした。それはきっと私だけではなく、関係者のほとんどが感じていたと思います」
こう話すのは、Gakkenグローバル戦略室ライセンスチームの半田智志氏。半田氏が担当するライセンスコンテンツは、海外旅行ガイドブックの草分け的存在「地球の歩き方」だ。そして冒頭、「死んだ」と指しているのも、「地球の歩き方」のことである。
「『地球の歩き方』は“海外旅行”のガイドブックですから、コロナ禍で海外旅行者が激減した期間は、それまで年間約90冊も出していた改訂版を発行できませんでした。売り上げは大きく落ち込み、95%減です。もう『死んだな』と思う他ありませんよね」(半田氏、以下同)
半田氏は2001年にダイヤモンド・ビッグ社に入社後、20年弱もの間「地球の歩き方」の広告営業を担当していた。しかし、新たなガイドブックが生まれなければ、広告を入れる器はない。編集も営業も、窮地に陥っていた。
潮目が変わったのは20年の9月、「地球の歩き方」から初の“国内版”のガイドブックが登場した時だ。
「最初に『東京』を出してみたところヒットし、その後『多摩地域』『京都』『北海道』『沖縄』など、“国内版”で新刊を続々と出しました。これが話題になり、この勢いに乗って、『月刊ムー』や『ジョジョの奇妙な冒険』と異色のコラボも実現しました。とりわけ22年2月に発売した『月刊ムー』とのコラボは、数多くのメディアに取り上げてもらいましたね」
21年1月、「地球の歩き方」はビッグ社から学研グループに事業譲渡される。半田氏も、現在所属するGakkenライセンスチームに仲間入りすることに。
「『月刊ムー』とのコラボを機に、さまざまな企業から『うちともコラボしませんか?』と、声をかけていただけるようになっていました。Gakkenライセンスチームのメンバーからも『地球の歩き方は有名だし、絶対ライセンス商品にできますよ』と背中を押され、心強かったです。初めての挑戦ですが、ガイドブック95%減を経て『もう、失うものは何もない』と思えたので、地球の歩き方メンバーも皆やる気でした。なにより、『もう一度死ぬわけにはいかない』という焦りもありましたね」