『キム・ジヨン』は韓国で130万部超えのベストセラー

『82年生まれ キム・ジヨン』は韓国で136万部以上売れたベストセラーだ。複数の国で翻訳されており、日本でも2018年に邦訳版が出版され、29万部超えという異例の大ヒットとなった。この小説を原作とした映画は、2020年に日本でも公開されている。

 このヒットの後で日本では韓国文学の翻訳が増えた。「キム・ジヨン」のテーマがフェミニズムやジェンダーであったことから、『僕の狂ったフェミ彼女』(ミン・ジヒョン/加藤慧訳)や『ヒョンナムオッパへ:韓国フェミニズム小説集』(チョ・ナムジュ他)など、翻訳される韓国文学やノンフィクションもジェンダー関連のものが多かった印象がある。

 また、2019年に文芸誌の「文藝」が17年ぶりに重版となった際のテーマは「韓国・フェミニズム・日本」だった。

 このような経緯から、出版業界や読書好きな人たち、あるいはフェミニズムに関心の高い人の中では「韓国」と「ジェンダー」は関連のある場所に位置付けられるトピックだった。

 もちろん、現代は人々の興味・関心が多種多様であるから、日頃からこのようなテーマにアンテナを張っていない人にとっては、わたなべ議員のように「どのような関連があるのか、いまいち分かりにくい」と感じても仕方ない。

 問題は、ツイートをする前に、この作品が「女性の生きづらさを描いているようです」と気づいた様子であるわたなべ区議が、なぜわざわざツイートをしたのかという点だろう。