セダンでガソリンの
A180セダンが本命といえそう
パワーは十分以上。瞬発力に優れ、回すとパンチの効いた加速を楽しめるのがうれしい。低速域では320Nmの最大トルクを発揮する200dほどの力強さはないが、スポーティに気持ちよく走り回れる。高い静粛性も魅力。同程度の排気量の場合、3気筒が増えているが、あえて4気筒を採用した点が光る。音質は安っぽくなく、音や振動もよく抑えられている。他社の3気筒に対してはもちろん、手厚い遮音対策が施されたディーゼルの200d系と比べても優位に立つ。
7速DCTはクセがなく扱いやすかった。かつては多少つながりがギクシャクしたが新型は素直。シフトスピードは“瞬時”とまではいえないが、持ち前のダイレクト感が味わえる。駐車時に前進と後退を切り替えたときのタイムラグは小さく、ストレスを感じない。
最新のAクラスのメカニズムは、数値的には従来と変わらない。だが乗ってみると細かなところがいろいろ進化している。足回りの印象も上々。同じ条件で乗り比べたハッチバックのキビキビとしたフットワークと、入力を巧みに吸収してフラットな姿勢を保つ走りにも感心したが、セダンはその上をいく。ボディ剛性が高く前後バランスにも優れるているからだろう。A180の車重はディーゼルより130kg軽い1370kg。そのため、動きはずっと身軽。一連のMFA2プラットフォームを用いたコンパクトメルセデスの中で、上質な走りを求めるなら、セダンでガソリンのA180セダンが本命といえそうだ。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/山上博也)