IAEA最終報告書は
「安全基準に合致している」と結論

 こうした状況下、IAEAは4日、処理水放出に関する日本の計画について「IAEAの安全基準に合致している」という結論の最終報告書を公表した。政府は放出の時期を近く最終判断する。

 グロッシ事務局長は報告書を提出しつつ「今回の報告書は十分に科学的な答えを出している」とその信頼性を強調した。

 日本政府の処理水放出計画は、大量の海水でトリチウムの濃度を国の安全基準の40分の1未満に薄め、原発から海底トンネルを通じて敷地から1km程沖合に出す方式である。これにより、残された放射性物質のトリチウムの海洋放出量は年間22兆ベクレルとなる。

 これは、中国の陽江原発の112兆ベクレルの約5分の1のレベルであり、韓国の月城原発の71兆ベクレルの3分の一以下である。

 IAEA最終報告書の要点は次の通りだ。

○処理水の放出による人と環境への放射線の影響は無視できるほどごくわずか
○放出はIAEAの安全基準と合致
○IAEAが福島第一原発に事務所を設置して、放出期間中も安全性を評価 数十年にわたり安全性を評価

 この報告書に対し、これまで反対を唱えてきた中国は、外務省が「IAEAの報告書は日本の海洋放出を正当化するものではない」「強行すれば日本があらゆる結果の責任を負わなければならない」と述べ、対抗措置の可能性さえ示唆した。

 その一方で、米国国務省は「日本は2011年の福島第一原発事故の余波を公開的で透明に管理(隠ぺい工作など一切せず、事実をありのままに伝えているとの意)しており、IAEAと積極的に協力して科学に基づいた手続きを進めている。IAEAの最終報告書は、日本の処理水放出計画が世界的に通用する原子力安全基準に合致するという結論を下した」として最終報告書の内容に信頼を示した。