乗車効率の上昇や相互乗り入れは、都市の経済効率を上げた。しかし、女性の不自由さは残ったままだ21世紀に女性専用車両は復活した。それでも痴漢検挙数は絶えない。乗車効率の上昇や相互乗り入れは、都市の経済効率を上げた。しかし、女性の不自由さは残ったままだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

古い街並みへのノスタルジー
男性目線が土台

 駅前の一杯飲み屋街が取り壊され、無機質な駅ビルが林立する。郊外の商店街がシャッター街になり、すぐ近くの幹線道路沿いにショッピングモールがオープンする。

 昔ながらの街並みの喪失は、懐古主義が絡みつき、否定的に捉えられがちだ。商業主義の蔓延による街の文化の破壊といった文脈で語られることも多い。

 しかし、若年女性を対象とする社会学者からは、異なる意見が発信されている。古い街並みへのノスタルジーは、男性目線の都市空間に立脚しているというのが彼らの主張だ。

 外食が好例だ。一杯飲み屋は、若い女性が一人で気軽に行ける場所ではない。一杯飲み屋に限らず、都市における外食の場は、女性の一人外食を前提としていない。

 これは現代日本だけではない。江戸は参勤交代で独身男性が多く、彼ら向けの外食産業が成長した。19世紀の欧州でも女性はカフェに入ることを許されず、家でコーヒーを飲んだ。