大手商社系「倉庫シェアサービス」に業界団体が反発、国へ要望書を提出した理由自家倉庫はスペースが遊休化しやすい? 写真提供:カーゴニュース

倉庫シェアリングサービスを展開する企業が提供する「自家倉庫シェアリングスキーム」に、営業倉庫業界から「待った」がかかった。自家倉庫のスペースを賃貸借し、入出庫などの庫内作業についても業務委託契約を結んで自家倉庫が請け負う――という「不動産賃貸」と「業務委託」を組み合わせた新たなサービススキームについて、日本倉庫協会(久保高伸会長)は、外形上、営業倉庫が行う貨物の「保管」と取られかねないとの意見を表明。国土交通省に対し、必要な場合には適切な対処を求める要望書を提出した。(カーゴニュース編集部)

*本記事はカーゴニュースからの転載です。

自家倉庫の遊休スペースを有効活用
アリ?ナシ?

 波紋を広げているのが、大手商社系の倉庫シェアリングサービス会社が発表した、新たなサービススキーム。従来は、営業倉庫のみをシェアリングの登録対象としてきたが、その対象を自家倉庫に拡大するというものだ。同サービス会社は、国交省に確認を行ったうえで、「倉庫業法による規制を受けない」自家倉庫シェアリングスキームを構築したとし、2023年7月からのサービス開始を目標に、4月から利用者の募集を開始した。

 同サービス会社が注目したのが、自家倉庫が抱える大量の遊休スペースだ。自家倉庫は第三者貨物を保管できないという制約から閑散期にはスペースが遊休化しやすい。同サービス会社によると、倉庫スペース全体に対する遊休スペースの割合は、倉庫業法に基づく登録がなされた営業倉庫が27%の1730万平米であるのに対し、自家倉庫は40%の4880万平米に達し、約3倍の遊休スペースが発生しているという。

 今回構築した自家倉庫シェアリングスキームでは、倉庫利用者が自ら貨物の保管責任を負うこととし、倉庫利用者・提供者はサービス会社が考案した独自の利用規約に則して倉庫を運営する。また、倉庫利用者が営業倉庫と自家倉庫を誤認しないように、検索一覧に「自家倉庫であること」を明記し、倉庫利用者がいずれの倉庫を選択しているか容易に認識できるよう表示を整備するという。

大手商社系「倉庫シェアサービス」に業界団体が反発、国へ要望書を提出した理由自家倉庫シェアリングスキームのイメージ