近藤聡・EYストラテジー・アンド・コンサルティング社長Photo by Yoshihisa Wada

Big4の一角、EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、デロイト出身の“超大物”コンサルタントである近藤聡社長の下、「プロジェクト・ドラゴン」なる計画で急成長を遂げている。ドラゴンが成功裏に終わった今、次に目指す目標とは何か。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、全3回のインタビュー記事の中編として、近藤氏に今後の戦略や競合との差別化について解説してもらった。さらに、昨年突如浮上したが、今年中止が決まったEYのコンサルと監査の分離計画の議論の経緯と、コンサル部門への影響についても聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本 輝)

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次の中期計画の方向性をトップが解説
分離計画中止の影響は?

――「プロジェクト・ドラゴン」は2023年6月期でおおむね達成見込みということですが、次はどのような目標を掲げますか。

 ご存じの通り、EYでは昨年、監査部門とコンサルなどの部門でファームを分割するという「エベレスト」と呼ばれる計画の議論がありました。エベレストが進めば、その環境下での戦略を考える必要があったので、この間はまず分離の活動ばかりを行っていたのですが、4月ぐらいに分離をストップすることが決まったんですよね(経緯の詳細は『EYのコンサルと監査「分離中止」に、日本法人と日本のコンサル市場への影響は』参照)。

 なので、ドラゴンが終わり、エベレストもストップして、これ次を考えなければまずいですよねということで、マインドセットを入れ替えて、次の目標についてこの第一クオーター(7月~9月)をかけて議論をしているところです。

 ちょうど先日、パートナーのキックオフ会議がありました。コロナ禍があったので、1000人以上のパートナーが物理的にほぼ全員集まるのは、ドラゴンという名前を付けたときの会議以来ですね。

 そこで、ドラゴンの結果と、これからEYジャパンの今後について確認しました。方向性の仮説は提示していて、おおむね全てのサービスラインのパートナーも違和感ないという評判を聞くので、その方向で精緻化を進めていくところです。

――その仮説の中身は、従来の成長路線を維持していくということですか。

次ページでは、近藤氏がドラゴンの成功を経た今後の戦略の方向性について解説する。近藤氏はデロイトやPwCといった競合との差別化に当たり、「絶対に強化しない」という領域を明かす。さらに、近藤氏はEYの分離計画の中止によるコンサル部門への影響についても語った。