近藤聡・EYストラテジー・アンド・コンサルティング社長Photo by Yoshihisa Wada

コンサルBIG4の一角でありながら、デロイト、PwCらの後塵を拝してきたEYストラテジー・アンド・コンサルティング。しかし、近年、デロイト出身の“超大物”コンサルタントの近藤聡社長が「プロジェクト・ドラゴン」なる計画を推し進めて急成長を遂げ、コンサル業界の台風の目となっている。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、全3回のインタビュー記事の前編として、近藤氏に業績の現在地に加え、どのようにEYを生まれ変わらせたのか解説してもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本 輝)

売上高は前年比30%増の800億円超!
躍進の原動力「プロジェクト・ドラゴン」

――足元の業績はいかがでしょうか。

 まだ、決算が確実に締まっていないのでぶれる可能性がありますが、23年6月期のEYストラテジー・アンド・コンサルティングの売上高は前年比で約30%増となる800億円超となる見込みです。人員数は6月末で3889人になりました。

 ちょうど私がEYに入った頃の売上高が300億円弱だったので、そこから大きく伸びましたね。成長率はなだらかになってきましたが、業績はずっと好調に推移しています。

――これまでEYのコンサル部門は、BIG4の中でもデロイト、PwCなどの後塵を拝し、存在感が発揮できていない状態でした。そうした状況下で、近藤社長がEYに移籍してから「プロジェクト・ドラゴン」という成長戦略を推進しています。その成果はいかがですか。

「プロジェクト・ドラゴン」は、もともと監査が強かったEYで、23年6月期に監査と非監査業務の収入を50対50にするという計画です。現在のフォーキャストベースでは、23年6月期の非監査収入は全体の約52%です。

 絶対額としては、もう少し上の水準を狙っていたのですが、途中、新型コロナウイルスの感染拡大などでモビリティー関連の案件が全部止まるような事態もありましたし、ここまで採用が激化するとは思っていなかったので、そこは致し方ないかなと。

 ただ、成長率は世界のEYのプラクティスの中でも、一番高い水準で推移しています。ドラゴンの実施に当たってグローバルから投資などでサポートしてもらいましたが、日本が「お手本的」に成功できたということで、グローバルからはかなり高いアテンションが当たっている状況ですね。

 なので、ドラゴン自体は、非常にサクセスフルに推移したというのが率直なところです。

次ページでは、近藤社長が感じたというEYの「弱点」を開陳。「プロジェクト・ドラゴン」が成功裏に進んだ背景として、近藤氏が取り組んだ、リクルーティングや評価方法、パートナーの意識改革といった多岐にわたる変革を、余すところなく詳説する。近藤氏は社員の意識を変えるために、あることの“撲滅運動”をしたという。そのあることとは。