1月下旬、政府によって生活保護基準引き下げの方針が打ち出されて以後、その内容が時々刻々と明らかになってきた。生活保護基準の引き下げが、広く国民全体の生活に中長期的に与える可能性のある影響は、現時点では想像を絶するほど広く深い。
今回は、主に最低賃金と就学援助を中心に、生活保護基準引き下げが国民生活に及ぼす影響について紹介する。
厚生労働省も認める
約40制度にも及ぶ引き下げの影響
2013年2月19日、厚生労働省は「生活扶助基準の見直しに伴い他制度に生じる影響について」という資料を公表した。この資料によれば、生活扶助基準(生活保護費のうち生活扶助費)の引き下げに伴って影響を受ける制度は、約40制度にも及ぶ。
厚生労働省の方針によって各制度を分類すると、以下のようになる。
正直なところ、どういう基準によって、これらの取り扱いが決められたのか理解に苦しむ。たとえば、なぜ、「戦傷病者特別援護法に基づく療養手当」が据え置きで、「中国残留邦人等に対する支援給付」や「ハンセン病患者に対する給付」が連動して引き下げなのだろうか? しかし、この表を一覧するだけで、意外にも広く深い影響が及びそうであるということはご理解いただけるのではないだろうか。
たとえば低所得者一般に関しては、「国民年金保険料の免除」が影響する。また、長期的には個人住民税の非課税限度額にも影響が及ぶ。このため、
「住民税が課税され、国民年金保険料も免除されなくなる」
という形で生活が苦しくなる可能性もある。
さらに、この資料には書かれていない巨大な影響もある。最低賃金だ。