NAFLDの原因の多くは高血圧や糖尿病などの「生活習慣病」です。NAFLDを放置すると「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」に移行することもあります。

 さらに注意点としては「ASTやALTが上がっていなくても、脂肪肝になる」ということです。「脂肪肝になっている=肝臓の細胞が壊れている」ではないので、「数値は正常なのに、脂肪肝が眠っている」ケースも存在します。

「ALTが上昇していてNAFLDがあった人」より「ALTは正常なのにNAFLDがあった人」のほうが2倍多かったというデータもあります(※3)。

放置は絶対NG!「これ」が出たら要注意!

 ここで重要になってくるのが「BMI」です。男性の銀行員を対象に行われた研究では、BMIが高い人(25以上が肥満とされています)と、ASTやALTが高い人とでは、前者のほうが脂肪肝になっている割合が高かったというデータがあります(※4)。

 結論としては「肝酵素が上がっている」、もしくは「肝酵素が正常でもBMIが上昇している」と脂肪肝のリスクありといえます。

 脂肪肝の診断には「腹部超音波検査」が必要です。もし脂肪肝なら、肝臓が超音波を通じてキラキラ輝いて画面に映し出されます(医学用語でbright liver と言います)。

 検査の結果、脂肪肝が存在したら、「お酒を過度に飲まない」のは当然として、もう1つの原因である肥満対策として、「適度な運動をして、食事に気をつける」ようにしましょう

【出典】

※1 Young In Lee,et al. Colorectal neoplasms in relation to non alcoholic fatty liver disease in Korean women: a retrospective cohort study. J Gastroenterol Hepatol.2012 Jan;27(1):91 5.
※2 Gi Ae Kim,et al. Association between non alcoholic fatty liver disease and cancer incidence rate. J Hepatol. 2017 Nov 2;S0168 8278(17)3229 4 8.
※3 NAFLD/NASH 診療ガイドライン 2014年版
※4 Takashi Shida,et al. Clinical and anthropometric characteristics of non-obese non-alcoholic fatty liver disease subjects in Japan. Hepatol Res. 2020 Sep;50(9):1032 1046.

(本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を編集・抜粋したものです)