中国「反スパイ法改正」で“日本人の拘束リスク”は上昇必至…注意すべきことは?Photo:PIXTA

日本の政府と企業の間で高まる
「反スパイ法」への警戒と懸念

 習近平第3次政権が本格始動して5カ月がたとうとしている。新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に封じ込めるために、3年以上続けてきた「ゼロコロナ」政策が解除された時期とも重なり、中国の“リオープニング”(再開放)に内外から期待がかけられた。

 台湾海峡における潜在的衝突、半導体を巡る輸出規制、軍事交流メカニズムの遮断などに象徴される「米中対立」という地政学的構造問題に、日本の官民も必然的に巻き込まれている。そのたびに日中関係は緊張、不安定化し、中国に関わる事業を営む日本企業は、眠れない日々を過ごしているに違いない。

 こうした中、日本政府および企業が、「中国との付き合い方」という意味で、足元最も警戒、懸念しているのが、いわゆる「反スパイ法」であろう。今年3月下旬、アステラス製薬現地法人の幹部が北京で拘束された事件(いまだ釈放されていない)は記憶に新しい。

 中国政府は2014年11月に「反スパイ法」を公布、即日施行(同時に、1993年に採択された「国家安全法」は廃止)し、それ以来、計17人の邦人が拘束され、うち9人が実刑判決を受けてきた。