トヨタ自動車にとって、米国と中国は共に捨てられない重要マーケットだ。両国は、全く別のアプローチで日系メーカーの自動車技術の囲い込みを始めている。『史上最強 トヨタ』の#13では、豹変した中国自動車市場の動向を表したランキングを公開し、トヨタを襲う「中国リスク」の実態に迫る。また、米国の政策誘導により、トヨタの国内生産が窮地に追い込まれる理由についても解説していこう。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)
トヨタ、ホンダ、日産が完敗
中国自動車販売が激減する理由
日系自動車メーカーが、7月単月の中国新車販売台数を明らかにした。それによると、トヨタ自動車15.2万台(前年同月比15.4%減)、ホンダ8.9万台(同32.8%減)、日産自動車5.9万台(同33.6%減)――と、悲劇的な数字が並んだ。
日本勢“完敗”の理由として、昨年に実施された内燃機関車をターゲットにした税制優遇がなくなり、その反動減が如実に表れたという見方もある。
だがそれ以上に、外資メーカーでも(外資と中国の)合弁メーカーでもなく、中国地場メーカーが魅力ある電動車を次々と投入していることも見逃せない事実だ。
そう考えると、日系自動車メーカーの販売激減は一過性の落ち込みではなく、構造的な要因によるところが大きいということになる。ここ数カ月の間で、大手自動車メーカーの本社幹部が“突如として中国通い”を始めているのもそのためだ。
日系自動車大手3社について言えば、ここ20年、中国市場で利益を着実に積み上げてきた歴史がある。それにもかかわらず中国で一体、どんな異変が起きているというのか。
次ページでは、過去3年で“豹変”した中国自動車市場の動向を端的に示すランキングを公開し、トヨタを襲う「中国リスク」の実態に迫る。
また、トヨタの頭痛の種は中国マーケットだけではない。中国以上に“ドル箱市場”である米国でも異変が起きている。米国の政策誘導により、トヨタの国内生産が窮地に追い込まれる理由についても解説していこう。