写真:住職,寺写真はイメージです Photo:PIXTA

実家の寺を継ぐ
女性が増加

「お寺の一人娘だったので、檀家(だんか)さんからは『いずれお婿さんもらうんだね』という雰囲気があり、私も漠然と結婚相手が住職をするんだろうなという気持ちでいましたね」

 そう穏やかに話すのは、北海道にある浄土真宗本願寺派寺院の住職、川内かなこさん(仮名、40歳)だ。色白の肌にロングヘアがよく似合う川内さんは5年前、生家のお寺を継いで住職になった。現在、約200軒の檀家とともにお寺を守る日々だ。

 少子化、それにお寺を取り巻く厳しい環境下、僧侶の数にも変化が起きている。文化庁の『宗教年鑑』平成元年版と令和4年版を参考に、伝統仏教教団の曹洞宗(所属寺院約1万5000寺)と浄土真宗本願寺派(同約1万寺)の宗派公認の教師数の推移を例にとると、過去30年余で曹洞宗(1万6979人→1万5296人)、浄土真宗本願寺派(2万7329人→1万8911人)と明らかな減少傾向にある。

 一方で、最近じわりと増えていると聞くのが、お寺の娘さんが僧侶となって活躍するケースだ。

 日蓮宗(所属寺院約5000寺)は先頃、約20年ぶりに宗派内の女性教師を対象に「日蓮宗全女性教師アンケート調査」を行った。今年3月に発行された令和3年度調査報告書によれば、前回調査との大きな変化の一つに「師僧との関係」があり、最多が父・母を師僧として僧侶になったと答えた人で、前回の17.4%から30.8%に増加。他の質問項目の結果からもお寺に生まれ、親の後を継ぐために僧侶となる女性が増えているのではないかと指摘されている。

 これまでお寺の娘さんは、周囲から「結婚や就職で外に出る」か「僧侶の婿をもらう」などを期待されることが多かった。

 なぜ、彼女たちはお寺を継ごうと決心したのだろうか。