女性の数は自衛隊並み?
男性優位な僧侶の世界
「僧侶となって間もない頃、ご法事をつとめた時に『どうして住職じゃなくて、奥さんのあなたなんですか。お布施の額が不満でしたか』と言われて傷ついたことがあります」
ある女性僧侶は、そう振り返る。
伝統仏教教団で女性僧侶が活躍するケースが増えているという。その属性はお寺の娘や住職・副住職の妻、あるいは一般家庭から志を持って出家するなどさまざまで、昨今はお寺の娘さんが住職として後を継ぐのも珍しくないことを前回の記事で書いた。
しかし、「僧侶の世界の男女比は自衛隊並み」(都内の40代女性住職)と言われるほど、全体に占める割合はまだ少ない。表は文化庁『宗教年鑑』令和4年版をもとにお寺の数の多い伝統仏教教団10宗派の男女別教師数をグラフ化したものだが、どの宗派も女性教師は2割に満たず、禅宗教団である曹洞宗や臨済宗に至ってはわずか2~3%にとどまる。
こうした状況下、女性教師にはジェンダーを理由とした戸惑いも起きている。