警備員が見たビル裏方スタッフ「暗黙の序列」、清掃・設備・管理…弱い立場は?【再編集】写真はイメージです Photo:PIXTA

警備員、清掃員、設備員、管理員――。安全で清潔なオフィスビルは、こうした裏方スタッフの努力で支えられている。裏方の仕事は「簡単そう」と思われがちだが、実際は体力的・精神的に過酷である。また、スタッフ内に「暗黙のヒエラルキー」が存在し、立場が上の者が下の者に強い態度で接することもある。元警備員の筆者が、知られざる4職種の仕事内容と力関係を赤裸々にお伝えする。(ブックライター/元高層ビルの警備員 堀田孝之)

※本記事は2022年6月21日配信記事を再編集したものです。

高層ビルの舞台裏に潜む
「裏方スタッフ」の実態

 あなたが普段、仕事や買い物をしている高層ビルは、たくさんの裏方スタッフによって維持管理されています。ビル内をくまなく巡回して安全を守る「警備員」、ビル内のあらゆるエリアを掃除する「清掃員」、ビル内の全設備のメンテナンスをする「設備員」、そして裏方スタッフのボスに当たる「管理員」です。

 そのほかにも、電気や空調の専門業者、窓ガラス清掃の専門業者、自動ドア・エレベーター・エスカレーターの専門業者など、ビルの維持管理にはさまざまな職種の人が関わっています。でも、ビル内に常駐しているのは上記の4職種だけです。
 
 実は私も裏方スタッフの経験者で、20代のころに警備員として働いていました。本稿では当時の経験を踏まえて、一般的なビジネスパーソンにはあまり知られていない4職種の仕事内容と、裏方スタッフ内のドロドロとした人間模様を明らかにしていきます。

 ただ警備員については、連載の過去記事で詳述しているので、ここではざっくりとした解説にとどめます。私が勤めていた高層ビルでは、防災センターの監視モニターで不審者がいないか監視し、入館者の受け付けをしつつ、ビルの中を歩き回るのがルーティンでした。

 一見すると簡単そうですが、決してそうではありません。働き方は25時間勤務で、朝8時から翌朝9時までビルの中に居続ける必要がありました。巡回距離は1日約10キロで、私は入社からの2カ月で10キロほど痩せました。

 40階以上ある全フロアのテナント(入居する企業など)を丸暗記するテストもあり、何度も不合格になった人が“左遷”されたこともありました。

 ビルの裏方スタッフは、想像以上に過酷な仕事なのです。それでは、残る清掃員、設備員、管理員の業務内容を見ていきましょう。

【次ページ以降で公開!警備員業界の「中の人」が見た真実】
・警備、清掃、設備、管理…「裏方ヒエラルキー」の頂点は?
・テナント社員に「気軽に話しかけた」裏方の末路
・裏方スタッフたちが序列を忘れて「一丸になる日」