いつの間にか愛される!「PR発想」のブランドコミュニケーションとは

テレビや新聞などのマスメディア、群雄割拠のウェブメディア、企業がしのぎを削るオウンドメディア、インフルエンサーが次々に登場するSNS……。多種多様なメディアが生活者の注目を奪い合う中、顧客との関係構築に苦戦している企業は多いのではないだろうか。そんな迷える企業に「PR発想のブランドコミュニケーション」を提案するのが、2023年7月にサニーサイドアップグループ傘下のPR会社・サニーサイドアップの新社長に就任したばかりのリュウ シーチャウ氏だ。ジョンソン・エンド・ジョンソンのマーケティング本部長やレノボ・ジャパンのCMO(Chief Marketing Officer)などを歴任したマーケティングのプロが、多メディア時代のコミュニケーション戦略を語る。(聞き手/音なぎ省一郎、構成/フリーライター 小林直美、撮影/朝倉祐三子)

CMOから社長へ、転職の理由は「両思い」

──マーケターとして実績を重ねてきたシーチャウさんが、PR会社のサニーサイドアップ(以下、SSU)の社長に就任された経緯を教えてください。

 創業者の次原(次原悦子氏、現サニーサイドアップグループ社長)に声を掛けられたのが直接のきっかけですが、シンプルに互いのニーズが合致したというのが大きな理由です。SSUは多様化する顧客ニーズに対応するためにPR以外の経験を持つリーダーを求めていたし、私もマーケティングという仕事をやればやるほど「もっと経営に近いところでビジネスに貢献したい」と思うようになり、ビジネスユニットのトップのポジションに魅力を感じるようになっていました。

 といっても、すぐ「やります」と返事をしたわけではありません。私は仕事を「結婚」みたいなものと考えているので、相手から求められるだけじゃなく「両思い」にならないと転職なんてできない。だから「会社を理解する時間が欲しい」と伝えて、しばらくインターンをさせてもらったんです。

──社長になる前にインターンをされていたんですか。

 そうです(笑)。有給休暇を取ってはここ(SSU)に出社してきて、プレゼンに立ち会わせてもらったり、いろんな部署を回って雑談したり……。時間はかかりましたが、結果的に私がすっかり会社にほれ込んで「ぜひジョインしたい!」と思うようになりました。

──特にどのあたりに魅力を感じたのでしょうか。

 まず、組織がフラットで若いこと。そして、社員一人一人がすごく真剣にクライアントに向き合っていることです。人が資本のビジネスですから、仕事を楽しむカルチャーは大きなアドバンテージです。クライアントとして仕事をお願いした経験はあったので、「SSUに露出をかけてもらうと、きっちり成果が出るな」という実感はありましたが、その理由が改めて分かりました。