支払先がインボイスに登録していれば、請求書・レシート等にインボイスの登録番号があるはずです。契約書その他の書類にインボイスの契約番号があればそれでかまいません。

 もしそれがなければ、インボイスに登録しているかの確認をしなければいけません。ただし、例外が2つあります。

この「例外」に注意!

 1つは、原則として自身の2期前の課税売上高が1億円以下の場合、2029年9月30日までは取引の金額が税込1万円未満であれば、納める消費税の計算上、100%の消費税を引くことができるのです。インボイス登録の確認をする必要はありません(すべての方について、値引きや振込手数料で税込1万円未満ならインボイスが不要です)。

 もう1つの例外として、インボイスが免除されるものがあります。税込3万円未満の交通費(電車、バス、船)、税込3万円未満の自販機・自動サービス、郵便などです。この場合、会計ソフトにその特例の旨を入力すれば、インボイスがなくても、納める消費税の計算上、消費税を100%引くことができます。

 まとめると、原則課税の場合の経理の流れは次のようなものです。

・インボイス免除の対象をチェック(3万円未満か)
・金額をチェック(1万円未満か)
・消費税のコードをチェック(10%、8%、0%=対象外)
・インボイスに登録しているかをチェック(100%、80%)

簡易課税、2割特例を推奨

 原則課税でよほど得をすることがない限り、簡易課税、2割特例を選んでおきましょう。簡易課税や2割特例だと、原則課税よりも経理は確実にラクになり、税金が減る可能性もあります。なお、簡易課税を選ぶときには、届出書が必要です。2割特例は、届出書は必要なく、申告のときに選ぶことができます。なお、申告のときに原則課税と2割特例のいずれか有利な方を選びたい場合は、原則課税を選ぶときと同様の手間をかけなければいけません。

(本原稿は井ノ上陽一著『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』から一部抜粋したものです)