その後に会社はどうなるのかという問題が残るが、例えば、これだけイメージの悪化した事務所に、有望な新人タレントが入所を希望するとは思えない。タレントの移籍に区切りが付くまでを活動期間として、被害者への補償やケアの提供に十分な体制を構築したら、会社は清算・閉鎖するのが妥当だろう。会社そのものの存在と活動がなくなる方が、株主としての藤島氏にとっても安心ではなかろうか。

 新経営陣、そして彼らをバックアップするべき藤島氏の当面の大きな仕事の一つは、しかるべき相手に所属タレントやタレントのマネージャーの将来について「お願い」をして歩くことになるべきではなかろうか。

 本来あるべき新経営者の人選は、加害の事実と責任から遠く、藤島氏と個人的な関係がなく、本件に個人的な利害を持たない、それでいて交渉力のある有能な清算人ということになるだろう。少なくとも、東山氏ではあるまい。

被害者への謝罪と補償は
「サプライズで短期決着」を

 会社の去就と共に重要で難しい問題が、被害者への謝罪と補償だ。

 これが難しい理由は、謝罪にも補償の金額にもこれで満足だという基準が存在しないことと、問題を大きくすることがビジネスにつながるメディア業界や法曹業界がバックに存在することだ。

 ジャニーズ事務所側の会社としての利益や、ジャニーズ関係のタレントの活動上のイメージ、さらに藤島氏個人の精神的な安定を期するなら、早期に決着することが好ましい。いつまでも揉めると、当事者以外のタレントのイメージにとってもマイナスだし、関係者も前向きな仕事に集中できない。金額も膨らむリスクがある。

 謝罪については、ジャニー氏に近い人が彼に代わって誠意を持って行うべし、という以外に考えられない。芸能事務所というもともとが知名度商売の仕事の性質からして、不名誉な謝罪を行うことがマスコミの餌食になるような個人の「精神的な支払い」も仕方があるまい。

 また、専門の医療機関に委ねるのがいいと思うが、被害者の心のケアを行う十分信頼に足る相談窓口も用意すべきだろう。

 補償の金額については、率直に言って、具体的なイメージが浮かばない。あるメディアで、「慰謝料なら、一人100万円とか200万円くらいが相場か」という記述があったが、現時点でこれくらいがイメージされているのであれば、「一人に1000万円」というくらいの世間にとってサプライズとなる金額を提示して、一気に決着を図るのがいいように思われる。