これは、ジャニーズ事務所側で対応を考えるときにも、またジャニーズ事務所と各種の番組や広告などで関わっている各社が今後を考える上でも、考慮に入れておくべき前提であると思われる。

 現在、ジャニーズ事務所に所属するタレントをCMに起用しているスポンサー企業の多くは、「現契約は打ち切らないが、新規契約は控える」という状態で、率直に言うと「様子見」の姿勢にある。しかし、特に海外ビジネスの比重が大きい企業に関しては、現状が契約打ち切りの条件に該当しないかどうか契約書を読み直して、もう一歩先の対応を考えるべきときではないだろうか。

謝罪や藤島氏の社長退任は妥当だが
「東山紀之新社長」は悪手

 さて、記者会見の話題に戻ろう。

 注目点は複数あったが、まず、性加害の事実を認めて謝罪したことは、当然とはいえ、これまでの「認否保留」的な態度と比較して一歩前進ではあった。事実を認め謝罪することは、被害者に対する補償の前提となる。

 ただし、今後、藤島氏も東山紀之新社長も、性加害が事実であることをいつどのように知ったのかが、加害を止めなかったことと関連して問題となるだろう。「認めたから、終わり」というわけにはいくまい。

 これまで彼らは「噂は聞いていたし、気配は感じていたが、事実として加害があったことは確認できなかった」という言い逃れで、厳密に言うと嘘をついていたことになる。今後、この問題を追及されたときには、無理につじつま合わせをするのではなく、極力早い時点で「うそ」を謝罪して、事実を語るべきだろう。

「委員会の報告を見てから、被害者本人に確認して、事実と確信した」というレベルの2次的なうそをつくと、「私は○○年前に、東山先輩に相談した」というような被害者の証言が新たに出て来たときに、信頼回復のしようがない。

 次に、去就が注目された藤島氏だが、第三者委員会の勧告通り社長を辞任すると発表した。既定路線通りなのだろうが、これは妥当だ。

 ただし、東山氏を後任の社長としたことは「悪手」であろう。