今回、福祉などの行政によるセーフティネットは、ほとんど機能しませんでした。「パーソナル・サポートセンター」のような支援制度もここにはありません。行政や病院での冷たく心ない対応に、お金がなく底辺で生きるAさんは、傷つき、怯えていました。

 失業すると、人間関係が薄くなり、やがて孤立無縁に向かい、周囲から放置されます。そして、お金がなくなると、健康保険費用が払えなくなり、病院にかかるのが難しくなります。さらに情報が減り、移動が難しくなります。

 Aさんが社会から身を引く一方で、社会もAさんを放置しました。この状況を放置すれば、これから先、無縁死や孤独死はますます増えるのではないでしょうか。

 人々の心が壊れていっている感じがします。

 人を思いやる心が軽視され、「自己責任」という言葉の元で、心優しく、つつましく暮らしてきた人々が、切り捨てられています。

 関わっていただいた皆さまには、大変感謝しています。

 残念な結果になってしまいましたが、これからの私たちの活動について、再考したいと思っています。彼の死を無駄にしないためにも>

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どうすればAさんを
死なせずに済んだのか

 この男性の家庭内の事情も、他の悲劇のケースと同様によくわからない。ただ、レポートして頂いた森下さんは、こう問いかける。

「どうすれば、Aさんを死なせずに済むことができたのでしょうか?」

 その答えは、専門家にも行政の担当者にも支援者にも、もちろん私にも、いまは誰にもわからない。

 だから、本人や家族が勇気を出して声を上げたとき、周りの私たちは、彼らの声に耳を傾け、彼らに教えてもらいながら、みんなで答えを探していくしかない。

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