金融庁Photo:PIXTA

前社長の不正行為が明るみに出た国内最大の資産管理銀行、日本カストディ銀行が、外部弁護士らで構成する第三者委員会を近く設置する方針を固めたことが分かった。すでに関係者へ設置方針を伝えており、委員会メンバーの選定など詰めの作業に入った。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

IBM、野村総研らIT企業が絡む不正の全容解明へ
第三者委設置で「本当の」客観的調査を実施

 日本カストディ銀行(CBJ)は、三井住友トラスト・ホールディングス(TH)とりそな銀行が出資する日本トラスティ・サービス信託銀行、そしてみずほフィナンシャルグループ(FG)と生命保険5社が出資する資産管理サービス信託銀行が合併して誕生した資産管理銀行だ。預かり資産は国内最大の約650兆円に上る。

 そのCBJは今年6月、「元取締役による不正行為について」と題するリリースを公表。同1月に社内調査委員会を立ち上げて調査を進めた結果、「元取締役による利益相反や任務違背などの不正行為が認められた」としている。

 CBJは「元取締役」が誰で、「不正行為」が何かを一切明らかにしていないが、ダイヤモンド編集部が入手した調査報告書によれば、元取締役は田中嘉一前社長で、日本アイ・ビー・エム(IBM)や野村総合研究所などITベンダーを介して業務委託費を得ようとしたという。

 調査委員会は調査対象の9件中2件が「特別背任未遂罪」に当たると認定し、これを受けてCBJは捜査機関への相談も行っている。またCBJはダイヤモンド編集部の取材に対し、「第三者の視点による客観的調査が実施されたものと認識しております」と、調査に問題はなかった旨を回答している。

 では、なぜ今になって、改めて第三者委を設置する必要があるのか――。