決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏#11Photo:SOPA Images/gettyimages

ニンテンドースイッチが発売7年目に突入した任天堂。同社の決算書を見ると、スイッチ発売以来、単純な利益額だけでなく「稼ぐ力」そのものが向上していることが分かる。特集『決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏』(全27回)の#11では、その構造を決算書のPL(損益計算書)から読み解いていくとともに、PLの基本についておさらいをしよう。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

「週刊ダイヤモンド」2023年6月24日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

任天堂の利益率が高まった背景を
損益計算書で分析!

 財務3表の中で、最もシンプルで分かりやすく、かつ基本となるのが、損益計算書(PL)だ。

 PLが示すのは、一口に言えば「幾らもうかったのか」ということだ。

「トヨタ自動車、売上高が37兆円で過去最高を更新」「ソニーグループが電機業界で初の売上高10兆円・営業利益1兆円を同時達成」――。こうした注目企業のニュースを見ても分かるように、企業の“通信簿”として真っ先に評価されるのが、このPLだ。

 PLを見れば、一定の期間に、企業の商品がどれだけ売れたのか、その商品を売るために仕入れや人件費などがどのくらいかかったのか、最終的に企業の手元には幾らもうけが残ったのかが一目瞭然だ。

 ただし、実は「利益」といっても、PLの中には複数の利益が存在する。

 そこで、次ページでは、まずPLに登場する「五つの利益」について分かりやすく解説をおこなう。

 さらに、PLを用いた分析例として、任天堂が「Nintendo Switch」の販売数を落としても高利益率を保っているカラクリについて解説するほか、外食大手のすかいらーくホールディングス(HD)が赤字転落した実態について紹介しよう。