岸田政権の経済政策で財政「平時への移行」の古い発想、“複合危機”の時代に逆行Photo:JIJI

危機が常態化した時代
財政審の提言は古い発想

 政府は10月中に物価高や半導体などへの国内投資支援、防災・減災などへの対応を柱にした経済対策取りまとめと補正予算の編成を打ち出したが、一部ではコロナ禍からの景気回復の中での財政支出拡大を疑問視する声があがる。

 財務省の財政制度等審議会も昨年11月、「令和5年度(2023年度)予算の編成等に関する建議」で、「日本も、新型コロナ対策として前例のない大規模な財政措置を講じてきたが、今まさに例外から脱却し、平時への移行を図るべきタイミングである」と提言した。

 日本政府は過去30年にわたって、財政危機を懸念し、財政健全化に努めてきたが、2020年以降、新型コロナ対策として大規模な財政措置が講じられたため、財政赤字は大きく拡大した。財政制度等審議会や財政健全化論者たちは、この積極財政が常態化し財政健全化が遠のくことを恐れている。

 確かに新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いは今年5月に2類から5類へと変更され、第9波の到来が懸念されているものの、パンデミックに関しては、有事から平時への移行を図るべきタイミングであると言えるのかもしれない。

 だが、有事と言うべきは、パンデミックだけではない。危機と不確実性に満ちた世界は「ポリクライシス(複合危機)」と呼ばれている。危機の常態化した時代には財政や金融政策も発想の転換が必要なのだ。