近年、「頭の回転の速さの象徴」としてお笑い芸人が多くの場面で活躍をしている。そんなあらゆるジャンルで活躍をし続けるお笑い芸人たちをこれまで30年間指導し、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも話題になった伝説のお笑い講師・本多正識氏による1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術』が発刊された。ナインティナインや中川家、キングコング、かまいたちなど今をときめく芸人たちをこれまで1万人以上指導してきた本多氏の仕事に対する考え方をオリジナル記事としてお届けする。

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「めちゃめちゃ仕事が速い人」が守っている1つのルール

 皆さんのまわりに仕事が速い人はいますでしょうか。こういった人はどんな職場でも重宝されます。そんな仕事が速い人に共通している仕事のルールがあります。それは「マルチタスクをしない」ということです。詳しく見ていきましょう。

 仕事が遅い人も能力的に劣ることはほとんどありません。それにもかかわらず、仕事のスピードに差が出てしまうのは、仕事が遅い人はマルチタスクをしてしまうからです。

 仕事をしていれば、同時に多くのプロジェクトが進行します。これは仕方がありません。ただ、だからといってマルチタスクをしてもいいことはありません。

 なぜなら、マルチタスクはそれぞれを平等に進める弊害として以下の3点が挙げられます。

・仕事を並行して行うため全体的に終わらせるのに時間がかかる
・仕事ごとに頭の切り替えが必要になりタイムロスが発生する
・仕事が減りづらいため達成感が得られない

どれも仕事が遅くなる大きな原因です。

 並行することで、時間がかかるのは誰でも想像ができるかと思いますが、見落としがちなのは2つ目と3つ目です。

 マルチタスクは意外と頭の切り替えに時間がかかります。特に軽い仕事から重い仕事に切り替えをするときは、なかなか頭の切り替えができず、手が動くまでに時間を要します。非常にもったいないです。

 加えて、仕事がひとつ減るごとに人は達成感を得られますが、それもないので、気持ちもなかなか追いつきません。よく受験勉強などでは、分厚い参考書をやるよりも薄い参考書をたくさんこなした方が達成感も得られていいと言われますが、まったく同じです。仕事でも達成感が得られるようにしなければ、徐々に心が削られてしまいます。

 このように、仕事が遅い人はマルチタスクという選択をしてしまうがゆえに自らに余計な負荷をかけてしまうのです。