東京駅丸の内駅前広場からの眺め写真はイメージです Photo:PIXTA

不動産各社が、軒並み過去最高益を記録している。今回はそんな業績好調な不動産大手2社、三菱地所と東急不動産ホールディングスの決算書を比較してみよう。同業界の2社だが、「資産の持ち方」に明確な違いが表れている。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)

コロナ禍を経て
業績好調の不動産業界

 コロナ禍を経て、不動産各社の業績が好調だ。2023年3月期決算では、今回取り上げる三菱地所の営業利益は約2970億円、東急不動産ホールディングス(以下、東急不動産HD)は約1100億円と、過去最高益を記録。その他にも、三井不動産では約3050億円、住友不動産では約2410億円の営業利益を計上し、こちらも過去最高益を更新している。

 もともと業績が堅調なオフィスビル事業に加えて、コロナ禍からの回復が見られるホテルや商業施設事業がこの好業績に貢献しているとみられる。

 ただ、一口に不動産会社といっても、その事業構造は一様ではない。そこで今回は、三菱地所と東急不動産HDの決算書と、会社全体の資産効率を表す指標とされる総資産回転率を取り上げて、不動産会社の決算書に見られる特徴と、両社のビジネスモデルの違いについて解説していくこととしたい。

 また、東急不動産HDは、近年になって太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギー施設に対して積極的な投資を行っている。なぜ、同社はこうした再生可能エネルギーに対して大規模な投資を行っているのか、その背景についてもあわせて探っていくことにしよう。