しかし、だからといってロータリーエンジンが生きる道がなかったかといえば、それは「NO」だ。本来、マツダが考えるロータリーエンジンの目指すところは、レシプロエンジンと張り合って勝つことではなく、ロータリーエンジンでしか実現できないことを追求すること。つまり、ロータリーエンジンが“活きる”形を確立するべきであると、マツダはそれを十分に理解していた。
事実、ロータリーエンジンは、これまではコスモスポーツやRX-7、RX-8のようなスポーツカーのパワーユニットとすることで、その“ロータリーらしさ”を存分に発揮してきた。
その“ロータリーエンジンらしさ”とは何か。それはシンプルな構造で軽量・コンパクト・高出力、低振動・静粛性の高さである。そして、搭載性の高さによるパッケージングデザインの自由さも相まって、運動性能やステータスが求められるスポーツカーにうってつけのパワーユニットであるということだ。