マツダがこだわる“匠の育成”と“技術の継承”と
それらを担う若き職人たち

 先日、新型ロータリーエンジン8C専用となってリニューアルされたロータリーエンジン組み立て工場を見学する機会が得られたのだが、足を踏み入れての第一印象は、エンジンを組み立てている職人が一様に“若い”ということ。8C生産開始に伴い、若い方々が多く加わったようだ。その若き職人たちは、取り付けるパーツごとに分かれて、手際よくエンジンを組み立てていく。

マツダ「新型ロータリーエンジン」専用工場を見学!“匠”による手作り感は今も強かったエンジン組み立てラインでは若き職人たちが1基ずつ丁寧に組み立てている

 そんな新しい組み立てラインでもエンジン主要部分の“手作り感”は強い。とくにエンジン性能の要となる、ハウジング、ローター、エキセントリックシャフトなどインターナルパーツの組み立ては、職人の手によってひとつずつ丁寧に組み立てられていく。見学当日も室温25℃に保たれたクリーンルームの中で、ロータリーエンジンの“匠(たくみ)”が黙々とローターにガスシールを組み付けていた。

マツダ「新型ロータリーエンジン」専用工場を見学!“匠”による手作り感は今も強かったクリーンルームでの匠による作業の様子

 このガスシールというのは、アペックスシール、コーナーシール、サイドシールのことで、そこが“ロータリーユニーク”の部分。これらのシールの組み合わせが長く扁平な燃焼室の気密を保つロータリーエンジンにとって最も重要なパーツだ。このローターとシール同士のクリアランス、いわゆるシールクリアランスの精度は数ミクロン単位で要求され、それいかんでエンジン性能にも直結する非常にデリケートな部分。組付けに用意された各シールは、あらかじめそれぞれ厚み/外径/長さの違いでランク付けされており、ローターに刻印された溝のランクに合わせてシールを組み付けていく。

マツダ「新型ロータリーエンジン」専用工場を見学!“匠”による手作り感は今も強かったアペックスシール、コーナーシール、サイドシールはあらかじめそれぞれ厚み/外径/長さの違いでランク付けされており、ローターに刻印された溝のランクに合わせて選ばれる