新しい加工機で精度を上げたとはいえ、シールやシール溝にはもちろん公差があり、熟練の“匠”にしかわからない領域の手の感覚で動きが均一になるように合わせていく。ちなみに、この“匠”は多くの訓練を積んで、なおかつ先人の“匠”に認められた者しか与えられない称号とのこと。現在3名の“匠”がおり、今後は若い職人も修行を積んで認められれば匠になれる。この先、日本仕様の販売も始まりエンジン生産数は増していくだろうから、ロータリーエンジンの未来のためにも、マツダの“匠”の育成と“技術の継承”が今後も続いてゆくことを期待してやまない。

マツダ「新型ロータリーエンジン」専用工場を見学!“匠”による手作り感は今も強かった

 続く後編では、今回の新型ロータリーエンジン8C誕生によってつながった、ロータリーエンジンの今後に向けたさらなる進化の可能性、またマツダの夢とロマン、そして将来の見通しについて紹介する(後編を読む)

濱口康志/はまぐちやすし。1977年生まれ。ロータリーエンジン専門ショップREAL-TECH(リアルテック)代表 兼 ロータリーエンジン研究家。マツダが誇るロータリーエンジンの過去・現在・未来に関わるメカニズム・技術・歴史について日々研究しており、さまざまな自動車専門誌にも多く寄稿。ストリートからサーキットまであらゆるステージで走るRX-7、RX-8のメンテナンスやチューニングを数多く行ってきた経験と知識で、ロータリーエンジンのさらなる性能向上の可能性を追求している。ロータリーパーツやグッズ、書籍のコレクターでもある。

(CAR and DRIVER編集部 報告/濱口康志 写真/原田 淳+MAZDA)

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