前立腺がんかどうかを判断する
「PSA値」とは?

「夜中トイレに2回以上起きるようになった」男性の尿道まわりを襲う異常事態知名俊幸 順天堂大学医学部付属順天堂医院 泌尿器科 

 前立腺に関係する数値で、一般の健康診断では項目にないこともあるPSA値。人間ドックなどで血液検査をすると、この項目が結果に表れます。このPSAとは前立腺特異抗原(prostate-specific antigen)のことで、PSA値は血液中の抗原量を表す数値。前立腺がんの可能性を判断することができます。一般的には基準値は0~4ng/mLだとされており、4~10ng/mLはグレーゾーンで25~40%の割合でがんが発見されるといいます。

「このPSA値が高いからといって、必ずがんを罹患しているかというと、そういうわけでもありません。前立腺が刺激されて組織が破壊されることで抗原が血液中に出ることもあり、大腸菌などの雑菌による細菌感染で前立腺炎になってPSA値が上昇することもあります。しかし、やはりPSA値が高ければ、前立腺がんの可能性を疑う必要があります」

 がんかどうかを調べるにはMRIで検査をして場所を特定し、前立腺針生検術という生体検査を行います。前立腺針生検術は前立腺の組織を採取し、がん細胞がないかどうかを顕微鏡で調べる検査。肛門から棒状の超音波プローブという管状のものを挿入して、前立腺に自動生検針という針を刺し、その針先に得られた組織を採取する方法が主流です。

「この検査を行わなければ、がんであるかどうかを判断することができません。最近の前立腺針生検術は最短で日帰りから2泊3日程度でできるようになっていますので、PSA値が高い方は医師の診断に基づいて検査を受けるようにしてください」