邦銀がドル定期預金の金利を急上昇させて話題となり、「投資先として魅力的ではないか」という質問をこの1カ月で何度か聞いた。「ドル定期預金」はいい投資先なのか。また、分散投資の際に一定割合の資金が割り振られることが常識となっている「外国債券」はどうなのか。(経済評論家 山崎 元)
ドル定期預金の金利が急上昇
邦銀がいきなりの本気
メガバンクの一角、三井住友銀行が9月下旬にドル建て定期預金金利を年0.01%から5.3%へ一気に引き上げた。10月5日にはSBI新生銀行が6%に引き上げると発表した。そもそも市場で形成されている米ドル建て資金の金利水準や各行の資金調達コスト、リテール戦略上の思惑などを考えると、いずれもあり得ない金利ではない。それでも、邦銀があたかもいきなり本気を出したかのようにドル建て定期預金で高金利を提示し始めた。
通貨が円ではないので直接の比較はできないのが原則だが、円金利の水準と比較するといかにも魅力的ではある。「ドル建ての定期預金は、運用対象として魅力的ではないですか。ダメなのでしょうか?」というような問いを過去1カ月の間に何度か聞いた。
また、本連載で書いたが、大学を助成する「10兆円ファンド」のポートフォリオのふたを開けてみたら55%ものグローバル債券(主に外国債券)が含まれていて率直に言って筆者は驚いた(詳細は『10兆円大学ファンドの「素人丸出し運用」に呆れる』をご覧いただきたい)。また、公的年金の基本ポートフォリオでも外国債券は25%を占めている。「外国債券」は、そもそも運用に適した資産なのだろうか。